審査委員長
東京未来大学学長・東京工業大学名誉教授   坂元 昂

 第9回インターネット活用教育実践コンクールには、実践事例報告128件が集まった。それらについて、校種・分野ごとに審査委員に分担書面審査をお願いし、上位49件を選出し、第1次審査委員会において、慎重審議の上、学校教育部門8件、社会教育部門2件の計10件を第2次審査対象候補とした。さらに、映像制作会社に、候補先の現地取材をお願いし、具体的な活動状況を15分程度のビデオにまとめてもらった。それらを審査委員が精査し、第2次審査委員会において多角的に検討の上、受賞者並びに受賞実践を決定した。

 内閣総理大臣賞の栄誉に輝いたのは、佐賀県のKodomo2.0の「佐賀県民の情報モラル育成のための産官学民連携による地域的教育実践」であった。佐賀全県民の情報モラルを育成するために、県下の産官学民の各セクターが協力して、安全なネットワーク社会を構築した実践である。学校・大学教員、地域産業、ICT専門家、保護者等が異なる立場から協働し、親子共同制作によるポスターコンクール、ドラマ教材の制作、有害コンテンツ疑似サイト体験、ネット時代の親力養成や母子家庭講座、ネットトラブル電話相談、等幅広い多面的な活動を実践し、県民のネット問題の理解、マナー学習を促進した。今日の国策となっている情報モラル教育の一般化のモデルとして、大きな意義のある実践であるとして高く評価された。

 文部科学大臣賞学校教育部門は、栃木県の佐野市教育委員会教育センターの「市内小中学校での統一したシステムによる学校Webサイトの運用」で、市内全38の小中学校を統一したPCとWebサイトを導入することによって、紙ベースでは、なかなか行き渡らない、学校情報を地域や保護者、子どもたちに広く配信して、全市に学校を開いた実践である。Net Commons というWebページを簡単に制作できるシステムを用いて、全学校が絶えず情報を更新し、学校生活を地域共有のものとした。その際、校長が最終チェックして、写真記事などで個人情報を守る心配りもしている。地域に活きる学校を育てるのに一般化可能な優れた実践と言える。

 社会教育部門では、神戸防災楽習連携促進協議会の「神戸発 わが家の防災学習ジュニアチームが拓く学びのネットワーク」が受賞した。高齢化していく団地にあって、140人の小中学生を中心とする、防災ジュニアチームが、毎月、防災学習をし、成果を、インターネットを通して地域に発信する実践である。防災クイズ、マップ作り、耐震構造ものつくり、ロープワーク、基礎講義等、地域の情報についてもっとも詳しい中学生などが、体験し、自分の目で見て考え、楽しく学ぶことによって、団地の皆さんともコミュニケーションしながら、お互いの防災意識を高めている。多くの地域に一般化できる実践である。

 総務大臣賞の鳥取県立倉吉東高等学校高校生フォーラム実行委員会の実践は、7回にわたる持続的努力が、経済産業大臣賞の愛知県岡崎市立井田小学校は、映像制作における「バーチャル模造紙」の活用のアイデアが、朝日新聞社賞の北海道八雲養護学校は、特別な支援を必要とする子どもたちへのICTによる支援の重要性と広がりへの期待がとくに注目され、賞につながった。

 今回は、関係各位のご努力で応募件数も急増し、関心の集まりを感じさせたが、それだけよい実践も多く、優秀賞、特賞にも、優れた事例が多かった。第10回での更なる発展を期待している。